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絶望という名の……

友人Mから電話があった。それはとても切羽つまった感じで、
声をきいたとたんに「こいつ、死ぬんじゃないか?」と思ったくらいだ。


つかさみずほ
「どうしたん?」

友人M
「あ、あのさ。俺。く、く、車に乗れないんだ」

つかさみずほ
「へ?」

友人M
「ど、ど、どうしても車に乗れないんだよ」







ここで私のような職業の人間がまず考えるのは「うつ症状」である。


信号が渡れない、電車に乗れない、車に乗れない。


「ここで信号を渡ったら、もう壊れてしまうと思った」


と、いう話を私は毎日聞いている。


とはいえ、医者じゃないんだから診断はできない。


いやいや。


人間誰だって、心が風邪をひくことはあるもんだ。

大丈夫、大丈夫。


片手でメモと会話を録音できるように準備する。


おかしい、とおもったら迎えに行かなきゃ。





つかさみずほ
「あたし、そっちいこうか?」


友人M
「お、おう。今な、公安委員会にいるんだ」





つかさみずほ
「は?」


ふつう、私らは「は?」という言葉を使わないのである。
「は」という音での返答は、相手の発言を全否定してしまうから。





つかさみずほ
「なんだって?」




これもまず私らはいわない。




友人M
「今な、公安委員会」






つかさみずほ
「な、なにをしたら、公安委員会にいるの?!」






友人M
「め、め、め、免許が


失効してたんだぁ〜(T_T)(T_T)(T_T)」





ぶちっ
>録音スイッチと私の中でなんかが切れる音




試験場っていえや!(▼▼メ)







つかさみずほ
「で?」


友人M
「今年だと思ってたら、去年だった。もう免許ない。車乗れない。車で来たのに」





つかさみずほ
「押して帰れば?(-。-)y-~~~~」





友人M
「あかんて〜おまえ牽引してってくれよ〜(ノ_<。)」




あほですか、あんたは。




友人M
「じゃあ、つかさみずほ迎えに来て〜。で、俺の車乗って帰ってよ〜」

つかさみずほ
「え?車くれるの?!(笑)」

友人M
「やるかぁぁ。ローンもまだあるのに〜。でも車乗れないんだよぉぉ..・ヾ(。><)」

つかさみずほ
「あのさ〜。冷静になって、嫁さん呼びなよ」


友人M
「だめだって。怒られちゃうじゃんか〜っ」





知ったことではない。
私はそんなに優しくないのだ。

ってか、





てめぇ、1年無免許だったんだろうがっ!(▼▼メ)





あんたは、一度、自分の人生について振り返るほうがよい。







その後、友人Mがどうやって家に帰ったのか、私は知らない。


でも、奥さんにこっぴどく叱られていることはたしかなので、おそらく私の男友達はひとり減ったと思う。

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