なんか今、流行ってるの?>数学者
東野圭吾が直木賞を受賞した作品ではあるが、私としては、「う〜ん」と首をひねるしかない。
「これ、直木賞なんかな〜?」と、思ってるのは私だけではあるまい。
今回の主役、物理学者・湯沢のガリレオシリーズはこれまで短編集であった。
「探偵ガリレオ」も「予知夢」も、どんな巧妙なトリックや超常現象も、「そんなものは科学的に考えればなんてことはない」と、ばっさり切ってしまうのが小気味良いミステリーシリーズである。
天才数学者でありながらさえない高校教師に甘んじる石神は愛した女を守るため完全犯罪を目論む。
湯川は果たして真実に迫れるか
なんて紹介が新聞広告に踊ったとき、「うをぁぁ!湯川シリーズの長編だって!」とそのまま本屋に走った私。
初の長編で、しかもミステリー(のはず)である。
単行本の値段に迷うこともなく、家に帰るのももったいなくて、近くの喫茶店で一気に読んだ。
東野作品らしく、随所に張り巡らされた伏線も、トリックにも大変満足である。
が!
天才数学者という設定にはちょっと物足りない。
純愛?
こりゃ「冬ソナ」のほうがマシ。
純粋?
だれが?!数学者の石神か?!なんでさ?!
いや。
それでも、普段なら、「いいじゃん、ミステリーなんだから」で済ませるところさえ、ちっとも済まないのである。
なんでだろう?
余韻もなにもないのだ。
直木賞受賞のニュースを聞きながら、私の第一声は
「おお〜東野圭吾さんよかったじゃ〜ん!」であった。
「やっぱりな〜!絶対コレやとおもっててん!」ではなかった。
なんか納得がいかないのである。
それなら、恩田陸にあげてほしかった。
そりゃたしかに私は選考委員でもないし、編集者でもないし、ましてや東野圭吾とは縁もゆかりもないただの一読者なわけだが、今までずーっと読んできて、受賞のニュースに「ああ、やっぱり応援してきてよかった!」と、彼らと共にオタク的な喜びに浸りたい気分になるのも読書の楽しみなのだ。
なのに、なんか釈然としないのだ。
石田衣良が受賞した時は、「やった〜!」と、まったく他人事にも関わらずジャンプして喜んだというのに、同じようにずーっと読み続けている東野圭吾の直木賞受賞がうれしくないなんて。
「なんで直木賞やねん?」と新聞につっこんだ山田詠美の時以来である。
で、オフィスで「なんで釈然としないのか?」という話をしていたところ、
ヒロインがうざすぎるからではないか?!
という声がでた。
うん。たしかにうざい。
なんで石神がそんなに惚れこんでるのかさっぱり判らない。
ついでに、これが「愛」だなんて絶対納得できない。
それが愛だといった地点で、石神も湯川も天才から程遠くなってしまうと思う。
「とかいって〜♪もし石神みたいに惚れられたらドキドキしません?」
という若い女性スタッフの一言もあるが、それもない。
かといって、それがわかんないヒロインだからうざいとかいう話でもないのだ。
この小説そのものがもともとウザったい話なのである。
「突発的に起こった殺人をかばってくれてありがとう」なんて普通思わない。
それが、「あるかもなあ〜」だったから「白夜行」はおもしろかったのあって、主人公に「逃げろ、逃げ延びて!」と読者は思う。
ところが「容疑者Xの献身」にはそれがないのだ。
石神に救いも愛もなんもないのだ。
・・・・・・・・ただひたすらの献身?
それって愛か?
うんにゃ。やっぱり私はちがうと思う。
「発想を逆転して、iとはなにかを問いかけるミステリーなんでしょうか?」と別のスタッフ。
なるほど!そんな地口だったのか?
そういや、読者に不親切なとこが東野ミステリーだもんなっ!
とやっと一同、納得。
秘密にしといてほしかったもんである。


コメント (2)
お怒りですなあ!
女がウザイ!というところに私も気づかなかったです。おお〜。もう一回読みます。
投稿者: ★bambi★ | 2006年01月22日 11:37
日時: 2006年01月22日 11:37
ヒロインの靖子って、いかにも男性作家が描きそうな女性像なんですよね〜。
ぜひもう一回読んでみてくだされ〜。
投稿者: つかさみずほ | 2006年01月22日 13:09
日時: 2006年01月22日 13:09