うちのオフィスにいる、北国出身のさあちゃんは、
なんでもかんでも冷蔵庫にしまって帰ってしまうという習癖をもっています。
果物やらお饅頭やら、なんでもかんでも冷蔵庫にいれてしまうのです。
最初は私も「ああ、冷たい果物が好きなんだな」とか思っていたのですが、んにゃ、これはどうやらちがう。
「外に置いとくと凍ってしまうさ〜」
と、いうのが、さあちゃんの言い分なのです。
さあちゃんからすると、大阪は自分の実家より寒いそうなのです。
なんでも、さあちゃんの実家の地方には、屋内なら半そでで過ごせるほど温かな暖房器具があるというのです。
んで、それが普通なので、「大阪は寒い」とさあちゃんは言うのです。
「灯油が高くなった」といいながら、せいぜい月に1万も使わないのが大阪府民。
さあちゃんがいうには、「こんなに寒いのこんな馬力のないストーブが1台しかないこのオフィスは異常」とのこと。
全館暖房で昼間はエアコンもついていて暖かいのですが、たしかに夜は寒いです。
とはいうものの、それでも大阪府民は饅頭を冷蔵庫にいれて帰ったりしません。
早朝、水たまりに氷がはることはあっても、家の中でリンゴが凍ったことなどないからです。
「入れんでいいって〜凍らへんって」というのですが、さあちゃんは、ほぼ習慣的に冷蔵庫にいれてしまうのです。
「冷蔵庫は冷やすために入れるんやってば〜」という我々に、さあちゃんはとても傷ついていることでしょう。
また、車のサイドブレーキをかけない(→凍るから)といって、よく他のスタッフから大目玉をくらっています。
「あぶないだろうが〜!」と怒る我々に、さあちゃんは「サイドブレーキが凍ったらもっと危ないさ〜」と一人呟いています。
かのように、なにかと北国出身をからかわれているさあちゃんですが、さすがに今日は、ちがいました。
大寒波で、大阪にも数年ぶりに雪がつもったのです。
さあちゃん曰く、「こんなん雪じゃないさ〜」といわれる程度の積雪ですが、大阪はすっかりパニックでした。
電車は遅れるし、バスはこないし、大混乱もいいとこです。
今日は遅刻もおとがめなしです。
が、さあちゃんだけは、なんと真っ赤な自転車ですばやく出勤していました。
「こんくらいの雪なら乗れるさ〜」
という、さあちゃんに、私たちは北国の人々の技を見たような気がしました。
自転車に乗りながら、凍ってる道と凍ってない道を見分けるスキルは大阪人にはありません。
すごいぞ、さあちゃん!
各地の混乱がまだまだ続く中、夕方になると雪は全部とけてしまいました。
大阪の町はほとんどいつもどおりです。
「大阪は冬でも自転車に乗れるからいいね〜」というさあちゃんは、軽やかにペダルを踏んで家路につきました。
私はあの自転車をRuby slippers号と名づけることにします。
さあちゃん、頑張れ!おうちはもうすぐだ!
「おうち、おうち、おうち」と三度唱えたらきっと着いてるぞ!
※さあちゃんの自転車はママチャリじゃないので決して真似しないでください。

